日居月諸

書き手:吉田勇蔵          ブログ「月下独酌」もご高読賜りたく http://y-tamarisk.hatenablog.com/  twitter@y_tamarisk

アンポッ、ハンタイッ!

 戦後最大の国民運動と言われてきた1960年の安保反対運動の盛り上がり。人々は、この条約が成立すると日本はアメリカの戦争に巻き込まれると言って、大騒ぎをしていた。当時私は政治にまったく無知の中学生だったが、町のそこここに安保反対のスローガンとともに戦禍の光景を描いたポスターが貼られていたのを覚えている。

 で、その後日本はこの安保条約のせいで戦争に巻き込まれたのだろうか。

 大衆世論というものがいかに国際政治の現実に無知であるかということについて顧みる機会とすれば、戦後最大の騒動にも少しの意義があったと言えようが、そんなしおらしいことを考える人はほとんどいなかった。アメリカの庇護下での暖衣飽食をむさぼってきただけだった。

 今また「戦争に巻き込まれる」「日本は戦争をする国になる」と言って大騒ぎをしている人たちがいる。街頭などで大騒ぎをしている人たちは少数であるが、静かに暮らしている人たちもまた、やはりこのプロパガンダに簡単に付和雷同し、圧倒的多数が安保関連法案に反対している現状である。

 大衆は過去に教訓を見出さない。60年安保時の大衆世論の愚かさを顧みることすらしないから、今度もまた国際政治の現実に無知なままで「戦争をするな」のスローガンに踊らされている。一連の流れに中国の工作がどれほど入っているのかは知らないが、中国の思うツボで事態が進展しているのは事実である。これがどれほど子々孫々に有害な結果をもたらすことになるかなどということを、ほとんどの人が考えようともしないで、うす汚れた正義の旗のもとで簡単に付和雷同している。

 秋元某が作詞した『僕たちは戦わない』という歌をAKB48が唄っているそうな。若者を洗脳する悪質な企みだ。